近年、日本では新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、多くの企業でリモートワークに取り組みました。もともとリモートワークと相性のよいIT業界では、現在でも引き続きリモートで業務をおこなうエンジニアが多くいます。
とくにフルリモートであれば働く場所を選ばずに仕事ができるため、「会社に近い地域」や「最寄駅に近い場所」に住む必要性がなくなるのも事実です。とはいえ、地方移住に対してさまざまな不安を感じる人も多く、移住してから後悔しないように準備しておかなければなりません。
本記事では、エンジニアが地方移住する前に取り組むべきことや、移住するための具体的な手順を紹介します。
Contents
エンジニアが地方移住する前に取り組むべきこと

エンジニアのなかには、地方に移住してよかったと感じている人もいればそうでない人もいます。地方への移住には多くの時間と労力、さらにお金もかかるので、事前に計画をしっかり立てておくことが大切です。
ここでは、エンジニアが地方移住する前に取り組むべきことを3つ紹介します。
移住の目的を明確にする
最初に、「なぜ移住するのか?」という目的を明確にしましょう。ただ単に「なんとなく住んでみたかった」という気持ちだけで移住すると、後悔する可能性があります。
というのも、旅行することと住むことは全く別であり、旅行で訪れた土地が必ずしも居住地として相性が良いとは限らないからです。移住の目的は人によって異なりますが、具体例をあげるとすれば以下のようなものがあると考えられます。
- 自然豊かな環境で子育てしたい
- ゆったりとした環境で暮らしたい
- 趣味と向き合う時間を多く作りたい
- 地元に戻りたい
上記の例を参考に、今一度自分がなぜ地方移住をしたいのか、目的を明確に持っておきましょう。
家族やパートナーと話し合う
独身であれば自分1人が引っ越すだけで良いですが、家族やパートナーがいるとなればその人たちの合意も必要です。もし家族やパートナーの中で「移住したくない、今の場所に住み続けたい」と考える人がいるのであれば、その意見も聞いたうえで話し合うべきです。
万が一、家族やパートナーからの反対が思ったよりも強いのであれば、今が移住のタイミングではないのかもしれません。とくに子供がいる場合は、転校や受験したい学校が遠くなるなど本人に直接関わる影響があることや、自治体の制度による免除対象が変わるなどの金銭面での変化にも影響があることを考慮しておきましょう。
移住セミナーに参加する
県内市町村の地域の魅力や先輩移住者からの声を伝えたり、移住希望者からの不安や疑問に答えたりするためも、各都道府県や自治体が移住セミナーを開催していることがあります。自分が移住したい地方のセミナーには、積極的に参加してみましょう。セミナーに参加することで、より具体的に移住についての知識を得ることができます。
セミナーでは、移住したい地域についての情報や移住の流れ、地方で起業するポイントなどの内容が実施されます。移住セミナーは主要都市やオンライン上で開催されており、出張相談会などもあります。
また、より具体的に移住を体感できる「移住ツアー」を実施している自治体もあります。学校、医療機関、スーパーなどの場所を確認したり、お試し住宅を見学したりと、現地でのリアルな生活がイメージできるイベントとなっています。
エンジニアが地方移住するメリット・デメリット

地方移住には、良い部分もあればそうでない部分もあります。良いイメージだけを持って移住すると、現実との違いにショックを受けるかもしれません。
エンジニアが地方移住することのメリットとデメリットを知り、「本当に移住すべきか」を改めて考えてみましょう。
メリット
まずは地方移住のメリットから紹介します。
生活費が安い
多くの場合、地方の方が主要都市や首都圏に比べて物価が安い傾向にあります。生活コストをおさえられることで、都心部と同じ収入があれば金銭面での余裕が作りやすくなります。
家賃が安ければ広くてより良い家に住むこともできますし、家を建てる際にも同じコストで理想に近いカスタマイズができるかもしれません。ただし、ここで注意しておきたいのが、必ずしもすべてのコストが下がるとは限らないということです。
地域によっては水道代や電気代、ガス代などのインフラ面での料金が高くなることもあるので、事前に調べておく必要があります。
好きな場所で生活できる
前から住んでみたかった場所や、リラックスできる場所など、好きな場所で生活できるのは地方移住の大きなメリットです。毎日の満員電車や都会の喧騒などで”都会疲れ”している人にとって、心から落ち着ける場所で暮らせることは健康面でも良い方向へ作用するでしょう。
また、地元に帰ることができるのも、移住するメリットの1つです。生まれ育った地域であれば両親や同級生なども近く、馴染みのある土地で生活できるようになります。
やりたいことを楽しめる
趣味ややりたいことが目的で地方移住するのであれば、存分に楽しめるのもメリットです。
たとえば、サーフィンが好きな人が海の近くに移住すると、生活の一部としてサーフィンを楽しめるでしょう。「農家をやってみたかった」という人であれば、農業ができる地域に移住することでエンジニアと農家の兼業も可能になります。
食べ物が美味しい
農産物が豊かな地方も多く、食べ物が美味しいのも魅力です。海の幸や山の幸など、地方によってさまざまな地元ならではの食べ物を楽しむことができます。
最近では、お取り寄せサービスなどによって離れた地域の美味しいものを手に入れやすくなりましたが、やはり地元の新鮮な食品とは少し違うものです。現地で採れた食材をふんだんに使った食べ物を存分に楽しめるのも、地方移住のメリットといえるでしょう。
デメリット
次に、地方移住のデメリットを紹介します。
都会よりも不便になる可能性がある
地方によっては、学校やスーパー、銀行、医療機関、飲食店などの日常生活に必要な施設が自宅から遠くなり、車がないと生活できなくなることもあります。もともと車を所有している人なら問題ありませんが、車を日常的に使う暮らしに慣れていない人は、少し不便と感じるかもしれません。
地域コミュニティに溶け込むのに時間がかかる
地方にはさまざまな地域コミュニティがあります。コミュニティの規模や内容はさまざまですが、現地の人と打ち解けるのに時間がかかることもあるでしょう。
とくに外部地域との関わりが少ない地方の場合、移住者とあまり関わりを持ちたくないと考える人もいるかもしれません。それでも、地域の一員として住むのであれば、地域の人たちとのつながりは必須です。
近所の人や町内会、そのほかのコミュニティに積極的に参加して、少しずつ地域に溶け込む努力が必要です。
その地方特有のルールなどが存在する場合もあるため、「都市部に住んでいた方が楽だった・・・」と後悔しないように気をつけましょう。
地方移住の支援金制度について

都市部への人口集中を防ぐために、地方移住には、さまざまな支援金制度が設けられています。
移住に関する支援金制度は大きく「国がおこなうもの」「県がおこなうもの」「自治体がおこなうもの」の3つにわけられますが、このうち地方公共団体が主体でおこなう制度では最大100万円が支給されるなど、金額の大きなものもあります。
例えば、最大100万円が支給される移住支援金の対象になるには、以下の項目に該当する必要があります。
- 移住直前の10年間で5年以上、東京23区に在住または東京圏に在住し、東京23区へ通勤していた
ただし直近1年以上は、東京23区に在住または通勤していること。 - 東京圏に在住しつつ、東京23区内の大学等へ通学し、東京23区内の企業等へ就職した人も、通学期間も本事業の移住元としての対象期間に加算可能。
(参考:地方創生移住支援事業の概要)
なお、上記以外にも各都道府県や市町村で決められた項目にすべて該当する必要があります。こちらの支援金制度に該当しない場合でも、家賃の補助や自宅のリフォームをおこなってくれるなど、移住者向けの支援を各地で実施しています。
そのほかにも、「お試し滞在」への補助金を交付している地域もあります。希望先の地域ではどのような支援金・補助金制度を設けているのか、しっかりチェックしておきましょう。
エンジニアが地方へ移住する具体的な手順

ここからは、地方へ移住するための具体的な手順を紹介します。各ステップで丁寧に情報収集することで、地方移住を成功に導けるはずです。
それでは、具体的な手順をみていきましょう。
手順① 候補地を選ぶ
候補地をいくつか挙げ、どこに移住するのかを改めて考えましょう。すでに住みたい場所が決まっている場合はこのステップを飛ばしても良いですが、漠然と移住したいと考えているのであれば、インターネットで検索するなど、候補地を挙げてみましょう。
また、この段階で移住の目的が明確になっていない場合は、目的を明確にしてから移住候補地を探すようにしましょう。
手順② 情報収集する
候補地をある程度絞ったら、その地域に関する情報を集めましょう。インターネットの情報だけでは頼りないので、移住セミナーやイベントに参加して、具体的な話や移住した人の生の声をたくさん聞いてみましょう。
その地域に限らず、身近で地方へ移住した知り合いがいる場合には、実際に移住してみてどうだったかを聞いてみるのも良いでしょう。
手順③ 現地に行ってみる
情報収集するなかで、実際に候補地に行ってみることも大切です。
このとき注意すべきポイントは、旅行する気持ちではなく、「実際に住んでみたらどうか」という目線でみることです。
日帰りでも良いですが、お試し移住のように現地で泊まることができれば、より長い時間を過ごすことができます。この時点で「思っていたのと違う」と感じたら、他の地域の方が良いかもしれません。
手順④ 移住先での仕事状況を確認する
移住先で仕事を探そうと思っている場合は、移住前に就職先を確保しておくか見当をつけておく必要があります。移住したあとで仕事探しをスタートしたのでは遅く、仕事が見つからないまま生活費がどんどん減っていく現実に焦ってしまい、負のスパイラルに陥ってしまう可能性があるからです。
エンジニアはリモートワークしやすい職種のため、今の居住地でフリーランスとして独立して完全にリモートで働くのも1つの方法です。そのほかにも、現在会社員の方は、今の仕事をリモートでできないか交渉してみるのも良いかもしれません。
しかし、いずれにせよ移住前にある程度の仕事は確保しておきましょう。
手順⑤ 家を探す
次は、移住先での家探しです。
一軒家かマンションのどちらにするかをはじめ、交通の便や立地条件、築年数、日当たり、周辺の家との距離など、さまざまな視点で家を探してみましょう。
まずは賃貸情報サイトでどのような物件があるのかや相場などを確認し、必要であれば何度か現地に通って現地の不動産屋と内覧に行き、住む家を決めましょう。
現在では、現地に行かなくてもARで部屋の内見ができるサービスも存在するので、交通費をあまりかけたくない場合はこういったサービスを活用してみましょう。
手順⑥ 移住する
すべての準備が整ったら、いよいよ移住先への引っ越しです。
会社勤めの人は退職願を出し、周りにも挨拶しておきましょう。住んでいた家の退去手続きも必要ですね。また、住民票の移動や子供の転校・転入などの市町村役場での手続きも忘れないようにしてください。
エンジニアが地方へ移住する際の注意点3つ

「地方移住」は、地方という場所で都会の喧騒から離れてゆったりと生活することや、好きなことを楽しむ余裕を作るための手段であり、移住そのものが目的ではありません。
そこで、改めて地方移住の際の注意点を3つおさえておきましょう。
- 家族やパートナーの同意を得る
- 事前に、移住後の生活をしっかりとイメージしておく
- 基本的には、仕事を見つけてから移住を実行する
これらは、地方移住を成功させるための大切な要素です。
移住先のことを考えていると「早く移住したい!」と気持ちが高ぶるかもしれませんが、焦らず1つずつ丁寧に進めていくことが大切です。
地方移住を考えるエンジニアの仕事探しは『Bizlink』
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まとめ
都会の忙しさから離れて、地方のゆっくりした流れのなかで生活したいと思う人は少なくありません。とはいえ、人によっては行動にうつすのが難しい場合もあり、エンジニアは比較的自由が利く職種といえます。
しかし、実際に現地で生活してみないとわからないことも多く、焦って移住すると理想とのギャップに後悔することになるかもしれません。事前にしっかりとイメージを膨らませておき、一歩ずつ移住に向けて進めていきましょう。
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