フリーランスエンジニア必須の知識【業務委託契約の注意点について2021年版】

フリーランスエンジニアが案件のオファーをもらった場合、業務委託契約を結んでから工程に取り掛かることが通説となっております。

しかし、中には業務委託契約を結ばずに受注してしまう方もいると思います。業務委託契約を結ぶことは少々手間になってしまいますが、業務委託契約を結ぶことで受けられるメリットを知れば、そんな手間も感じなくなると思います。

ここでは、フリーランスエンジニアが結ぶ業務委託契約のメリットや注意点を紹介していきます

業務委託契約とは

業務委託契約とは、発注者が業務の一部もしくは全てを受注者に委託し、発注者と対等の立場をもって受注者がこれを承諾して結ぶ契約のことをいいます。また、業務委託契約は大きく分けて「請負契約」と「準委任契約」の2種類あります。ここでは、それらの違いについて解説していきます。

請負契約

請負契約は、フリーランスエンジニアの方に最も多い契約形態です。請負契約では受注者に仕事の完成義務があり、仕事を完成させなければ報酬を受け取ることができません。また、成果物にバグ・欠陥が見つかった場合には、「契約不整合責任」を負います。

契約不整合責任とは、成果物にバグ・欠陥が見つかった場合に受注者が負う責任のことです。ここで把握しておかなければならないことは、その際に発注者が、「損害賠償請求」「追完請求」「代金減額請求」「解除請求」を受注者にすることができるということです。

発注者が責任を請求できる期間には制限があり、種類・品質の不整合は、不整合を知ったときから1年以内に通知しなければいけません。ただし、数量の不整合は、期間制限はありません。

責任・請求というワードにネガティブな感情を抱いた方もいるかと思いますが、フリーランスとして働くにあたっては避けられないことなので、そうならないためにもバグチェック・検査は納品前に念入りにしましょう。

準委任契約

準委任契約とは、作業の実施に対して責任と報酬が発生する契約形態です。請負契約と大きく違う部分は、受注者に成果物の完成義務がないこと、契約不整合責任を負わないこと。そのため、発注者の意図に沿わない結果になっても、受注者は報酬を受け取ることができます。

準委任契約は、案件紹介エージェントなどを利用した場合に多い契約形態です。ただし、業務委託契約書に成果物の記載や、契約不整合責任に関して記載があった場合には注意が必要です。

準委任契約だからといって、発注者の意図を汲み取らずに仕事に取り組むことはおすすめできません。継続的に案件を発注してもらうためにも誠意をもって仕事に取り組みましょう

業務委託契約書を結ぶメリット

依頼の内容の相違による納品後のトラブルを防げる

業務委託契約書を結ぶ上で最もメリットを感じられる部分でしょう。業務委託契約書を結んだ場合、作業内容に記載のないことを納品後に発注者に指摘された場合に、業務委託契約書に記載がないことを指摘して、受注者が責任を負う必要がないことを伝えることができます

業務委託契約書を結ばなかった場合に納品後に水掛け論になるケースが多いので、それを未然に防げる部分は非常に大きいと思います。

裁判など最悪のケースになった場合に責任の所在を明確にすることができる

これは最悪のケースですが、報酬の未払いがあり受注者が発注者に支払いの催促をしても支払いに応じなかった場合、裁判になる可能性があります。その際に、業務委託契約書に支払い期日が設定されてあれば、責任の所在を明確にすることができます。

裁判を長引かせることは得策ではないため、責任の所在を明確にしてあれば、それを防ぐことができるのでメリットと言えるでしょう。

緊張感が生まれる

業務委託契約書を結ばなかった場合、緊張感がなく様々なことが曖昧になっていくことが多いです。特に企業ではなく個人間での場合、発注者が業務委託契約書を作成しない場合もあります。フリーランスであっても、そうでなくても、働く上である程度の緊張感は必要だと思います。

ある程度の緊張感があれば、発注者は支払い期日を厳守しようと思いますし、受注者は納品期日を厳守しようと思いますよね。業務委託契約書は、発注者と受注者の信頼関係を築く上でも非常に効果があります。発注者と良い関係性を築くためにも業務委託契約書を活用しましょう。

業務委託契約を結ぶ手順(受注者側)

1 業務委託契約書の作成

まず、最初に発注者とコミュニケーションをとって業務委託契約書を作成しましょう。業務委託契約書の作成方法は大きく分けて、行政書士・弁護士に依頼、ご自身で作成の2つあります。行政書士・弁護士に依頼する場合は、1〜1.5万円の費用が相場です。しっかりとした知識のもと作成するので、最もおすすめの方法です。

ご自身で作成する場合は、上記のひな形を配布してくれているサイトがあるので、そちらを使い必要に応じて項目を追加しましょう。ご自身で作成した業務委託契約書に不安がある方は、行政書士・弁護士によっては、チェックをしてくれるので、そちらを活用するといいでしょう。

2 発注者に確認してもらう

1で作成した業務委託契約書を発注者に確認してもらいましょう。1の時点で発注者から盛り込んで欲しい項目などを教えてもらって作成したとは思いますが、トラブルを回避するために念の為、発注者に業務委託書を送り必要に応じて修正をしましょう。

3 業務委託契約書の締結

完成した業務委託契約書を最終確認して、不備がなければ期日を決めて締結しましょう。万が一、締結した業務委託契約書に不備が見つかった場合は、すぐに発注者にその旨を伝え了承を得て、訂正して再度送りましょう。

 業務委託契約書の注意点

業務委託書の内容は発注者によって異なります。そのため、「前もこの契約形態だったから大丈夫だろう。」としっかりと確認せずに承諾すると後々、後悔に繋がってしまう可能性があります。ここでは、業務委託契約書を結ぶ際に注意したほうがいい5点について解説していきます。

自由な働き方が魅力のフリーランスの難しさを理解することもできるので、ぜひ参考にしてください。

作業内容を明確にする

まず、はじめに業務委託契約書で確認することは、作業内容についてです。この部分でよくあることは、納品した際に発注者から、「〇〇の部分は〇〇にしてください。とお伝えしましたよね。」と指摘されることです。業務委託契約書を承諾する前に、口頭での説明があったとしても、作業内容は明確であるか確認しましょう。

作業内容を明確にすることによって、納品した際に記載のないことを指摘された場合に、受注者が負う必要のない責任を防ぐことができます。水掛け論になるケースが非常に多いので、お互いの信頼関係のためにも、しっかりと確認することが大切です。

納得できる報酬であるかを確認する

報酬の内容も発注者によって変わる部分の1つです。まず、注意する部分としては、記載されている報酬が税込であるか、税別であるかです。記載がなく受注者・発注者の間で認識に相違があった場合、損をしてしまう可能性があります。

受注者が、税別30万であると認識していた場合に受け取れる報酬は、33万です。しかし、発注者が、税込と認識していた場合、受け取れる報酬は30万と3万もの違いがあります。この場合、1年で計算すると36万となり、およそ案件1件分になります。

内容が成果物でなく、作業時間に対する報酬であっても同様に大きく変わってしまう部分なので、疑問に思った場合は発注者に相談するようにしましょう。

報酬の支払期日を確認する

報酬の支払期日は、納期の1ヶ月後もしくは月末締めの翌月末払いが多いです。少ないケースですが発注者自身が作成した業務委託契約書の場合、報酬の支払期日が抜けていることがあります。

「下請代金支払遅延等防止法」には、支払期日は受領より60日以内と記載がありますが、受注者の生活の固定費などもあるので、ご自身が生活に困らない報酬の支払期日を設定するようにしましょう。

また、発注者が支払いを遅延した場合の記載も確認しましょう。発注者が支払いを忘れていた場合は、コミュニケーションをとることで支払いをしてくれますが、故意であった場合は、法的な手段を取らざるを得ない場合もあります。なるべく避けたいことですが、その部分を明確にすることによってリスクヘッジになります。

契約期間・更新の内容を確認する

業務委託契約の作業内容によっては契約期間の取り決めが必要な場合があります。フリーランスエンジニアの場合の契約更新のタイミングは、1〜3ヶ月のケースが多いです。コンサルティングなど、ある程度の期間を設けないと成果がでないものに関しては、6〜12ヶ月が多いです。

契約更新のタイミングは通常、1ヶ月前までに次回の更新可否を行うケースが多いので、そちらも確認しておきましょう。

責任の所在を明確にする

先述した、「作業内容を明確にする」にもあるように、フリーランスとして働く上で信頼関係は重要です。責任の所在が明確でない場合、裁判になるケースもあります。裁判になってしまうと弁護士費用はもちろん、精神的にも消耗してしまいます。

発注者が企業の場合は明確なケースが多いですが、個人間の場合は曖昧になっているケースも少なくありません。責任の所在を明確にすることで、緊張感が生まれ最悪のケースを未然に防ぐこともできるため、大切な部分だと言えるでしょう。

まとめ

業務委託契約の詳細と、業務委託契約書を作成する上で注意すべきポイントを、わかっていただけたかと思います。業務委託契約書がなくても案件を受注することができますが、トラブル回避のためにも作成する必要性があります。

フリーランスや個人事業主の方には、法律に疎い方も少なくありません。しかし、フリーランスとして働いていく上で、最低限の法律の知識は自己防衛のためにも学ぶことが大切です

IT業界が発展した最近では、法律を守らずフリーランスの方を平等に扱わない企業も増えています。ぜひ、この記事をきっかけに法律に関するリテラシーを高めて、良い信頼関係を築いてくださいね。

関連記事Related posts