フリーランスエンジニアが支払う税金|手取り収入と計算方法を解説

フリーランスエンジニアとして独立すると、会社員のように会社が税金や保険料を計算してくれることがないため、仕組みや計算方法を理解しておく必要があります。

また、フリーランスエンジニアは会社員エンジニアより収入を上げやすいとは言われるものの、「手取り収入」でみると大幅に増えるとは限らないのが現実です。

その原因となるのが、フリーランスが支払うべき税金や保険料です。本記事では、フリーランスエンジニアの税金や手取り金額について解説します。

月収別・年収別の具体例や手取りの金額をあげる方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスエンジニアが支払う税金と保険について

会社員として働いていても毎月多くの税金を支払っていますが、差し引かれたあとの金額を給料として受け取っているため、意識していない人も多いでしょう。

しかし、フリーランスエンジニアになると会社から天引きされることはなく、税金や保険料を自分で管理しなければなりません。

まずはフリーランスエンジニアが支払うべき税金と保険料の種類について、知識を深めておきましょう。

所得税

所得税は「所得にかかる税金」のことで、支払い先は税務署です。そもそも所得とは「儲け」のことで、収入から経費や控除を差し引いた金額のことを指します。

たとえば100万円の報酬を受け取ったとしても、電気代などの最低限の経費は必ずかかりますし、必要であればソフトウェアを購入することもあるでしょう。

そのような経費に加えて、基礎控除や扶養家族の控除なども収入から差し引いて所得税を算出します。

所得税の税率は課税対象額によって異なり、所得が多いほど納税額も多くなります。また、2013年〜2037年は東日本大震災の復興のための財源確保として、「復興特別所得税」を所得税に2.1%乗じて納めることになっています。

住民税

住民税には「市町村民税」と「道府県民税」があり、この2つを合わせた金額を支払います。住民税は前年の所得に対してかかる税金で、扶養家族の有無や個人の状況によって対象となる金額が異なります。

また、住民税は都道府県や市町村から個人に課される税金のため、居住地によっても計算方法が異なる場合もあります。

ただ、所得税のように個々で申告する必要はなく、地方自治体が計算して納税者に通知します。住民税はこちらのサイトで自動計算できます。

個人事業税

個人事業税は、個人でおこなう事業のうち法律で定められた70の業種のみに課せられる地方税です。70の業種とはいえほとんどの事業が該当しますが、解釈によって該当しないケースもあります。

フリーランスエンジニアの場合、個人事業税がかかるかどうかは「業務委託」か「請負」かによって異なります。原則として業務委託契約や準委任契約として働いている場合は対象にならず、請負業の場合は対象になると考えられます。

ただし、前述のとおり働き方や解釈によって課税か非課税かが変わるため、一概にはいえません。また、個人事業税は所得が290万円までは免除となります。

消費税

消費税は、2年前の年間課税売上高が1,000万円を超える場合に納める税金です。そのため、年収が1,000万円を超えない場合はあまり意識しなくても問題ありません。

例外として、前年の1月1日〜6月30日の課税売上高が1,000万円を超える場合は、開業から2年以内でも納税する必要があるので注意が必要です。

参考:売上高が1,000万円を超える場合(消費税について)

国民健康保険料

国民健康保険は病気やケガにより医療機関を受診した際に、保険料の一部を負担してくれる医療保険制度です。会社員として加入していた健康保険を任意継続するケースもありますが、多くの人は退職後に国民健康保険に加入します。

国民健康保険は以下の3つで構成されており、総額を保険料として納めます。

  • 基礎分保険料
  • 支援分保険料
  • 介護分保険料(40歳以上65歳未満の人が対象)

また、保険料は所得や扶養家族の人数、居住地によって異なります。フリーランスエンジニアの健康保険については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

>>フリーランスエンジニアが加入できる健康保険|保険料のおさえ方も解説

国民年金保険料

会社員エンジニアとして勤めている場合、国民年金と厚生年金の両方に加入しています。退職後は国民年金のみの加入となるため、最寄りの市町村役場で手続きをおこない、「第1号資格被保険者」となります。

また、国民年金保険料は所得に左右されない定額制で、令和4年度は月額16,590円となっています。口座振替やまとめて前払いすると割引される制度もあるため、積極的に利用するとよいでしょう。

所得税が安くなる「所得控除」とは?

所得税をおさえるために知っておきたいのが、所得控除です。所得控除とは、所得から差し引ける金額のことで、控除額が上がるほど課税対象額が下がる(所得税が安くなる)という仕組みになっています。

所得控除の種類と内容

所得控除には15種類*あり、対象となる控除を正しく申告することで節税につなげられます。15種類のなかから、おもな所得控除の種類と内容を以下の表にまとめました。

基礎控除所得が2,400万円以下の人すべてに適用
扶養控除16歳以上の子供や両親を扶養している場合に適用
配偶者控除配偶者の所得が48万円以下の場合に適用
社会保険料控除国民健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料の支払いに適用
医療費控除一定金額以上の医療費を支払った場合に適用
生命保険料・地震保険料控除生命保険や地震保険をなどの保険料を支払った場合に適用
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済に支払った掛金に適用
寄附金控除ふるさと納税やNPO法人に対して寄付をした場合に適用
参考:所得控除のあらまし

また、確定申告の際に青色申告をおこなうことで「青色申告特別控除」として最大65万円の控除を受けることが可能です。

*所得控除の種類は法改正によって変更されることがあります。

【月収別】フリーランスエンジニアの手取り目安と計算方法

ここからは、フリーランスエンジニアの手取りの目安と計算方法について紹介します。

月収30万円と月収50万のケースにわけて解説します。ただし、あくまでも目安であり、実際にはそのまま確定するわけではないので注意してください。

月収30万の場合

まず、月収30万円の対象者を以下のように設定しました。

東京都大田区在住のフリーランスエンジニア27歳。企業常駐の案件に参画しており、月収は平均して30万円(年収360万円)。

扶養家族はおらず、1ヶ月あたりの経費は9万円(年間108万円)で青色申告者。また、今回はわかりやすいように控除を基礎控除と青色申告控除のみとして計算します。

この場合の手取り月収は約25万3,334円となりました。内訳と計算方法は以下のとおりです。

  • 月収…30万円
  • 国民健康保険料…1万2,160円
  • 国民年金保険料…1万6,590円
  • 所得税、復興特別所得税…5,916円
  • 住民税…1万2000円
  • 個人事業税…0円
  • 消費税…0円

【手取り月収 約25万3,334円】

計算方法

月収30万の場合、以下の計算式により139万円が課税対象額となります。

360万円(年収)ー108万円(経費)ー48万円(基礎控除)ー65万円(青色申告控除)=139万円

この139万円をもとに、国民健康保険料は大田区の健康保険料シミュレーションで算出。国民年金保険料は一律1万6,590円なので計算する必要がありません。

所得税は税金計算シミュレーションに収入と経費を入力して算出しました。

また、住民税は「均等割」の5,000円(市町村民税3,500円、道府県民税1,500円)と、所得金額から所得控除額を引いた「所得割」の2つで計算します。

今回は所得控除額0円としたため、所得金額の139万円に10%(特別区民税6%、都民税4%)をかけて年間13万9,000円となりました。

ここに均等割の5,000円を足した14万4,000円が年間の金額となり、12ヶ月で割った1万2,000円がひと月あたりの住民税となります。

月収50万円の場合

上記と同じように、月収50万円(年収600万円)のパターンも計算してみます。ここでは経費を年収の約3割に当たる15万円(年間180万円)と仮定します。

計算してみた結果、手取り月収は約41万2,012円で内訳は以下のようになりました。

  • 月収…50万円
  • 国民健康保険料…2万5,376円
  • 国民年年金保険料…1万6,590円
  • 所得税、復興特別所得税…1万7,833円
  • 住民税…2万6,000円
  • 個人事業税…0円
  • 消費税…0円

【手取り月収 約41万2,012円】

計算方法

月収50万の場合、以下の計算式により307万円が課税対象額となります。

600万円(年収)ー180万円(経費)ー48万円(基礎控除)ー65万円(青色申告控除)=307万円

課税対象となる307万円で大田区の国民健康保険料を計算すると、月額2万5,376円でした。さらに所得税は年間21万4000円(復興特別所得税含む)で、12ヶ月で割ると月額1万7,833円になります。

住民税は307万円の10%で30万7,000円となり、ここに均等割5,000円を足した31万2,000円が1年の金額です。12ヶ月で割ると月額2万6,000円となります。

(国民健康保険料と所得税は月収30万円で案内したサイトにて計算しています。)

【年収別】フリーランスエンジニアの手取り目安と計算方法

次に、年収別のフリーランスエンジニアの手取りを紹介します。月収と同じ条件・計算方法で、こちらも目安として考えてください。

年収500万円の場合

年収500万円の場合、経費を3割とすると150万円になります。年収500万円から経費の150万円と、基礎控除+青色申告控除の113万円を引いた残りの237万円が課税所得となります。

この場合の手取り年収は約414万484円で、内訳と計算方法は以下のとおりです。

  • 年収…500万円
  • 国民健康保険料…23万8,436円
  • 国民年年金保険料…19万9,080円
  • 所得税、復興特別所得税…18万円
  • 住民税…24万2,000円
  • 個人事業税…0円
  • 消費税…0円

【手取り年収 約414万484円】

計算方法

月収と同じように、国民健康保険料は大田区の健康保険料シミュレーションを使い、所得税は税金計算シミュレーションに収入と経費を入力して算出された金額です。

国民年金保険料は一律1万6,590円×12ヵ月で19万9,080円となります。

また、住民税は所得金額の237万円に10%をかけた23万7,000円に均等割の5,000円を足して、24万2,000円となります。

これらすべてを年収500万円から引き、手取りは約414万484円となりました。

年収800万円の場合

年収800万円の場合も同じようにシミュレーションしてみます。年収800万円の場合、経費を3割とすると240万円になります。

年収800万円から経費の240万円と、基礎控除+青色申告控除の113万円を引いた残りの447万円が課税所得となります。

手取り年収は約643万6,244円、内訳と手取り年収は以下のとおりです。

  • 年収…800万円
  • 国民健康保険料…43万6,676 円
  • 国民年年金保険料…19万9,080円
  • 所得税、復興特別所得税…47万6,000 円
  • 住民税…45万2,000円
  • 個人事業税…0円
  • 消費税…0円

【手取り年収 約643万6,244円】

今回も国民健康保険料は大田区の公式サイト、所得税はシミュレーションサイトから計算しました。

また、住民税は課税対象の447万円に10%をかけた44万7,000円に、均等割の5,000円を足した45万2,000円となります。保険料や税金の総額156万3,756円を、年収の800万円から差し引くと手取り643万6,244円となります。

(290万円を超える所得の場合「個人事業税」が課税されますが、今回は免税対象とします)

実際には他の控除もあるので手取りの金額は異なりますが、大まかな目安として考えてみてください。

フリーランスエンジニアの手取りを増やす4つの方法

ここまで紹介したように、フリーランスエンジニアは支払うべき税金や保険料は多く、手取り金額が低くく感じる人も多いでしょう。

なんとなく税金を支払っていると損をするケースもあり、気をつけたいものです。ここでは、フリーランスエンジニアの手取りを増やす方法を4つ紹介します。

経費にできるものは必ず計上する

フリーランスエンジニアの経費は少ないといわれがちですが、それでも業務に必要な物品を購入した際はしっかり計上することで節税につながります

パソコンやデスク、ソフトウェアなどはもちろんですが、見落としやすいWifi代やスマホ代、レンタルサーバー代なども忘れないようにしましょう。

また、自宅で作業をしている場合は、家賃や電気代などの光熱費も経費計上できます。フリーランスエンジニアの経費は以下の記事で詳しく解説しています。

>>フリーランスエンジニアの経費はどこまで?基準や注意点を解説

控除を活用する

社会保険料控除や医療費控除などの控除を受けることで、課税対象となる所得を減らせるのはご理解いただけたと思います。

控除を受けるには、領収書や医療費の明細書などを確定申告と同時に税務署に提出するケースもあります。会計ソフトを使った場合、領収書や明細書の送付が不要となることもありますが、基本的には領収書や明細書は捨てずに保管しておきましょう。

また、確定申告は特別控除のある青色申告を選ぶことも重要です。青色申告をするには、税務署に「開業届」に加えて「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。

スキルを磨く

当然ですが、手取りの金額を増やすために収入アップは欠かせません。とくにIT業界は進化のスピードが早く、常にアンテナを張り勉強し続ける必要があります。

向上心を持ってスキルを磨き続けることで、高単価案件を狙うことも可能になります。たとえば、今はプログラマーとして働いている人でも、テックリードやエンジニアリングマネジャー、PdMなどへと仕事の幅を広げていくことで収入を増やせるようになります。

フリーランスは自分で仕事を選べるからこそ、その強みを生かしてどんどん上を目指して手取り金額を増やしましょう。

エージェントを利用する

手取り金額を増やすために高単価案件を探すなら、エージェントを利用するのがおすすめです。

エージェントでは多くのフリーランスエンジニアが悩む、営業や案件の確保などの問題を解決してくれます。

フリーランスエンジニアとして働いている場合、参画中の案件の終了時には次の案件を探さなければならず、本業との両立が難しいと感じる人も多いです。

しかし、エージェントを利用することで希望の案件の紹介が受けられるうえに、クライアントとの条件交渉から契約などを代行してくれます。

また、エージェントには、個人営業では受注できないような大企業の案件などもあり、魅力的なクライアントとの出会いに期待できるのもポイントです。

なかでもハイエンド特化型のBizlinkは、無料登録で非公開案件の紹介を受けることも可能です。フルリモートや週1〜の常駐案件など幅広く扱っています。

登録はこちらから、必要事項を入力するだけでOKです。これまでエージェントを使ったことがない人も、これからフリーランスを目指す人もぜひ登録して案件をチェックしてみてください。

まとめ

フリーランスエンジニアは税金や保険の支払いを個人でおこなう必要があるため、ある程度の知識を持っておいた方が有利です。

税金や保険にいくら払っているのかわからない状態では節税に対する意識が低くなり、損をしてしまうかもしれません。

どこにいくら支払っているのかを把握することで節税対策をしやすくなり、結果的に手取りを増やすことにつながります。

手取り金額を増やしたい人は、高単価案件を扱っているエージェントの利用も検討してみてください。

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