正社員からフリーランスになる際には、さまざまな手続きが必要になります。しかし、公的な制度への手続きには「退職後から◯日以内」など期限が決まっているケースも少なくありません。
とくに国民年金は退職日から14日以内と切り替え手続きの期間が決められているため、後回しにせず早めに対応しておきましょう。
本記事では、これからフリーランスを目指す人に向けた国民年金の基礎知識を解説します。免除制度や将来のために加入しておきたい制度なども併せて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
フリーランスは国民年金への加入が必須

まず、なぜフリーランスになると国民年金への加入が必要なのかについてみていきましょう。日本の年金制度は、入っている年金の種類の数によって何階建てなのかが変わります。
具体的な構造は以下の通りとなっており、国民年金にはさらに3つの種別に分けられます。
- 1階(国民年金):20歳以上60歳未満のすべての方が加入する
- 2階(厚生年金):公務員・会社員が加入する
国民年金は「基礎年金」とも呼ばれており、会社員や公務員でも対象の年齢であれば、全ての人が加入します。
(参考:公的年金制度の種類と加入する制度)
厚生年金との違い
厚生年金に加入できるのは、公務員もしくは企業に雇用されている会社員のみです。国民年金は収入額に関わらず保険料が一定なのに対して、厚生年金は収入に応じて金額が変動するという違いもあります。
また、公務員や会社員は1階の国民年金と2階の厚生年金の両方に加入するため、将来受け取れる年金額は国民年金のみのフリーランスよりも高くなります。
さらに、会社員として働いていると月々の保険料は給料から天引きされるのが一般的で、自分の口座から直接年金が引き落とされたり、振り込んだりする手間はありません。
そのため、会社員からフリーランスになったときに「年金の仕組みがわからない」という人が出てくるのも当たり前といっても過言ではないでしょう。
フリーランスには厚生年金という2階層目がないため、会社員と比べて極端に年金受給額が少なくなります。そのため、自分自身で将来の生活費用を管理していく必要があるのです。
国民年金保険料が免除される制度について
フリーランスとして独立したあと、思いのほか仕事が受注できず、年金を払う余裕がない状態になる可能性もゼロではありません。
そのような場合は、一定以下の所得の場合に国民年金保険料の納付が免除・猶予される制度を活用しましょう。国民年金を未納にすると将来受け取れる年金が減額されるため、支払いが難しい場合は免除・猶予を申請しておくことをお勧めします。
国民年金保険料の免除は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類あり、それぞれ所得によって承認基準が変わります。なお、前年の所得が審査対象となるため、フリーランス1年目で収入が大幅に減少しても、前年の所得が対象となる点に注意が必要です。(1月〜6月に申請する場合は前々年の所得が対象)
免除・猶予の対象となった保険料は「追納」として10年以内であれば後から支払うことができるので、上手に制度を利用して将来の受給額をできるだけ満額に近づけておきましょう。
国民年金への切り替え手続き方法

国民年金への切り替えは、住所のある市町村役場の窓口でおこないます。手続きには、以下の書類が必要となるため、事前に準備をしておきましょう。
- 本人確認書類(免許証、マイナンバーカードなど)
- 基礎年金番号が記載された書類(基礎年金番号通知書、年金手帳など)
- 退職した年月日が記載された書類(離職票、退職証明など)
- 印鑑
なお、扶養から外れた場合は、外れた年月日が記載された書類の提出が必要です。手続きの期限は退職日の翌日〜14日以内のため、優先事項として考えておきましょう。
社会保険から国民健康保険(国保)への切り替えも市町村役場でおこなうため、同時に提出しておくと手間が減ります。国民年金への切り替え手続きは電子申請にも対応していますので、「わざわざ行くのが面倒」という場合はオンラインを利用するとよいでしょう。
納付方法
国民年金は、銀行振込・口座引き落とし・クレジットカードから納付できます。また、6ヵ月分や1年分をまとめて前納すると保険料が割引されてお得になります。
もちろん無理をする必要はありませんが、独立資金としてある程度の貯金がある場合は、国民年金などの公的な支払いをまとめて先に払っておくと、心の余裕にも繋がりやすくなります。
フリーランス必見!国民年金に加えて検討したい制度

定年のある会社員とは違い、フリーランスは年齢に関わらず働き続けることが可能です。しかし、実際には年齢を重ねるとともに体力が低下したり病気になったり、さらには受注できる仕事が減る可能性も考えておくべきです。
前述の通り、フリーランスは支給される年金額が少なく、国民年金のみで充実した老後を送るのは難しいと考えられます。そのため、国民年金以外の制度を上手に利用して、将来のための資金作りを今から考えることが大切です。
以下に、国民年金に加えて検討しておきたい制度を5つ紹介します。
国民年金基金
国民年金基金とは、国民年金に上乗せできる公的な年金制度です。国民年金と国民年金基金をセットにすることで、会社員と同じように年金を2階建てできるという仕組みです。
国民年金基金は控除対象となるため、支払った金額を節税できる点も大きなメリットです。また、少ない掛け金かつ上限まで金額を自由に設定できるので、所得にあわせて将来に備えることができます。
ただし、厚生年金に加入中もしくはその配偶者、国民年金の保険料を免除されている人は加入対象外となるので注意しましょう。
付加年金
付加年金とは、国民年金に月額400円をプラスして支払うことで、将来受け取る金額が上乗せされる公的な制度のことです。受け取れる金額は200円×納付した月数となっています。
- 支払:400円×付加保険料納付月数
- 受取:200円×付加保険料納付月数
一見、上記の計算では損をするのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。たとえば、400円を40年間払い続けた場合、「400円×40年(480ヵ月)=19万2,000円」が支払った付加年金の総額となります。
そして、国民年金に加算される金額は「200円×40年(480ヵ月)=9万6,000円」で、1ヵ月8,000円です。月々の加算額は少ないものの、国民年金の支払いと一緒に毎年必ず上乗せされるので、実質2年で元が取れる計算となります。
ただし、国民年金基金に加入している人は、付加年金に加入できない点に注意が必要です。メリットやデメリットを踏まえて、自分にあった制度を選択しましょう。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)は、国民年金や厚生年金に上乗せする年金制度で、加入が自由に決められる「私的年金制度」です。
毎月単純に一定金額を積み立てるのではなく、自分で金融商品を選んで掛金を運用する資産形成型の制度です。そのため、掛金の総計や運用成績によって受取額が変わるという特徴があります。
iDeCoへの掛金は全額控除対象となるため、所得税や住民税が軽減されるのも大きなメリットです。また、運用益が非課税で再投資されたり受給時にも所得控除が受けられたりと、将来的にも嬉しい仕組みとなっています。
ただし、iDeCoは金融商品のため将来的な受給額の予測が立てづらいことや元本割れするリスク、60歳になるまで原則引き出せないなどのデメリットがあります。
つみたてNISA
つみたてNISAは、2018年からスタートした少額投資を支援するための非課税制度です。日本に住む18歳以上の人であれば誰でも利用でき、購入できる対象の商品は金融庁が認めた条件を満たす投資信託のため、信用度は高いと考えられています。
つみたてNISAを始めるには専用の口座を開設する必要がありますが、その口座で購入した投資信託の利益は20年間非課税というメリットがあります。つみたてNISAの投資の限度額は年間40万円で、iDeCoのような引き出しの制限はなく、いつでも引き出し可能です。
なお、2024年1月以降、NISAは新しい仕組みに変更される予定となっています。非課税保有期間の無期限化や年間投資枠の拡大など、基本的なルールが変わることが予測されます。詳しくは金融庁Webサイトでご確認ください。
小規模企業共済
小規模企業共済は、「退職金の積立」という位置付けの共済制度です。掛金はすべて控除対象になり、事業資金の借り入れもできます。
掛金は1,000円〜70,000円まで500円単位で自由に設定可能で、途中で増額・減額できるため収入にあわせて無理なく積み立てられます。
また、小規模企業共済には満期や満額という概念はなく、退職や廃業した時点で受け取りが可能です。受け取り方には「一括」「分割」「一括と分割の併用」の3種類あり、任意で決められます。
ただし20年未満で解約すると元本割れするため、長期的に積み立てるという意識で始めないと損をしてしまう点に注意が必要です。
国民年金にまつわるQ&A

ここからは、国民年金にまつわるQ&Aを紹介します。
扶養家族がいる場合はどうなる?
厚生年金であれば、配偶者が扶養されている場合には年金を払う義務はありません。(第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている年収130万円未満の配偶者)
しかし、フリーランスの配偶者にはそのような制度はなく、フリーランス本人と同じように国民年金に加入して保険料を支払う必要があります。
国民年金への切り替えを忘れた場合はどうする?
国民年金の切り替えを忘れていた場合でも、あとから手続きすることが可能です。この場合も住居のある役所の窓口にて申請できますので、まずは窓口で状況を説明しましょう。
なお、未納分は2年前までさかのぼって支払えます。免除・猶予が承認された保険料は10年前まで追納できますが、それ以外は2年以内分しか納められません。
国民年金はいつまで払い続ける?
国民年金は、20歳〜60歳の誕生月の前月まで支払う義務があります。そのため、原則60歳になった時点で保険料の支払いは終わります。
国民年金の保険料免除を利用するデメリットは?
国民年金保険料の免除制度を利用した場合、将来受け取れる年金額が減る可能性があります。
なぜなら、免除された期間は保険料を納めた場合に比べて1/2の金額、猶予された期間は年金額に反映されないという決まりがあるためです。
そのため免除・猶予が承認された場合でも、収入にゆとりができたタイミングで追納するように心がけましょう。
フリーランスとして将来への不安を感じるなら『Bizlink』
フリーランスは会社員よりも収入が不安定で、受け取れる年金額も少ないという事実があります。そのため、将来に不安を感じるフリーランスも多く、自分自身で対策していかなければなりません。
とはいえ国民年金以外の制度を利用するには、掛金や積立費用を用意する必要があります。できるだけ高単価の案件を獲得することで現在の生活にもゆとりができ、なおかつ将来の備えにも回しやすくなります。
IT系の高単価案件をお探しのフリーランスには、フリーランスエージェントの『Bizlink』がおすすめです。『Bizlink』には組み込み系エンジニアから各種ITエンジニアやSE、デザイナー、PM/PMO、クリエイター、ディレクター、コンサルタントなどの幅広い職種の案件があります。
募集しているプログラミング言語も多様なため、スキルを活かした案件探しが可能です。高単価案件を獲得して収入アップを目指したい人は、ぜひ以下のリンクから無料登録後に案件をチェックしてみてください。
Bizlinkへの無料登録はこちらから
まとめ
フリーランスは保険や年金、税金などの複雑な制度を自分で理解して、自分で対応しなければなりません。会社員であれば会社側がすべて対応してくれることから、あまり理解できないままフリーランスになる人も多いです。
本記事で紹介した国民年金への基礎を理解し、退職後はすみやかに手続きをおこないましょう。また、国民年金以外の制度を利用して、しっかり将来に備えておくことが大切です。
フリーランスの皆様こんな悩みありませんか?
- 今後の自分のキャリアに悩んでいる
- 自分の市場での価値を上げてみたい
- 独立できるか正直不安だ…
こんなお悩みはBizlinkで解決しましょう!