フリーランスエンジニアが支払わなければならない税金には、いくつか種類があり、支払う税金によって納税時期が異なります。また、納税先や支払い方法なども違うことから、うっかりしていると支払い忘れや申告ミスの可能性も・・・。支払い期日を過ぎてしまうとペナルティが発生してくるため、事前にスケジュール管理をしっかりしておきましょう。
本記事では、フリーランスエンジニアが納める税金の種類と支払いのタイミング、納税方法を詳しく解説します。「フリーランスエンジニアになったけど、税金をいつ払えば良いかわからない」という方はぜひ参考にしてください。
Contents
フリーランスエンジニアが納める税金の種類

最初に、フリーランスエンジニアが納める必要がある税金の種類を紹介します。税金は大きく「国税」と「地方税」に分けられ、それぞれ支払い対象となる機関や金額が異なります。
ここでは国税と地方税に分けて、該当する税金を詳しく紹介します。
【国税】
「国税」は国が主体となる税金で、フリーランスエンジニアに関係あるものでは、所得税や消費税が該当します。
所得税
「所得税」は1年間の所得に対して課せられる税金で、年間の収入から経費と所得控除を差し引いた金額で納税額を計算します。会社員であれば「年末調整」として会社の経理部がおこなってくれますが、フリーランスになると自分でおこなわなければなりません。
毎年2月16日〜3月15日に実施される確定申告の期間内に、昨年1年間の所得を整理したうえで所得税の金額を計算して納付します。なお、日本では「累進課税制度」が採用されているため、所得が多くなるにつれて税率が上がっていく仕組みとなっています。
消費税
私たちが買い物をする際に支払う「消費税」ですが、事業者という立場になると、条件を満たす場合には所得に対しても納税する義務が生じます。ただし、以下の条件にあてはまるフリーランスエンジニアは消費税が免除されます。
- 過去2年の課税対象となる売上が1,000万円未満の場合
- 開業から2年以内の事業者
なお、2023年10月1日からは「インボイス制度」が導入されます。インボイスとは「適格請求書」のことで、従来の請求書に加えて必要事項を記載した請求書のことです。
これまでは、上記の2点に該当するフリーランスエンジニアは免税事業者として消費税を支払う必要がありませんでした。しかし、インボイス制度が始まると、インボイスに登録していないフリーランスエンジニアとの取引において、クライアントとなる企業は仕入税額控除が受けられなくなります。
課税事業者になるか、免税事業者のままでいるかは自由に選択できます。以下の記事でインボイス制度について詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
>>フリーランスエンジニアはインボイス制度でどんな影響をうける?どう対応すべき?
【地方税】
「地方税」は都道府県や市町村に納める税金で、フリーランスとして支払うものには住民税や個人事業税などがあります。
住民税(個人住民税)
「住民税」は住んでいる都道府県・市町村の教育や福祉、ゴミ処理などの行政サービスを維持するために使われる税金です。「都道府県税」と「市町村税」の2つを合算した金額を納める仕組みとなっていますが、収入額や地域によって金額が異なります。
また、住民税は納税する年の1月1日の居住地に納めることが決められているため、1年の途中で引っ越した場合でも1月1日時点で住んでいた地域に納めることになります。
計算方法はどの自治体も共通しており、「所得割」と「均等割」をベースにしていますが、課税される所得額や独自の税金の上乗せなど地域によって異なる部分もあります。
- 所得割:10%(内訳:区市町村民税6%、道府県民税・都民税4%)
- 均等割:5,000円/年
なお、均等割は2014年〜2023年の間は防災費用確保のため、市町村民税3,500円・道府県民税1,500円と、従来の4,000円より500円ずつ引き上げられています。
個人事業税
「個人事業税」は、「フリーランスとしての事業をおこなう上で行政サービスを利用している」という考えのもと、各業種の事業者が負担する税金のことです。
対象となる業種は限定されていますが、職種まで詳しく記載されている訳ではないため、担当する人によって取り扱い方が変わることもめずらしくありません。基本的に業務委託契約・準委任契約で働くフリーランスエンジニアは該当しませんが、場合によっては「請負業」や「デザイン業」「コンサルタント業」として課税対象となることがあります。
なお、該当する業種であっても控除前の所得金額(売上から経費を差し引いた金額)が290万円以下の場合は支払う必要はありません。納付対象者には8月ごろに「納税通知書」が送付され、第1期・第2期の分割もしくは一括で納税します。
そのほかの税金
地方税には、上記で紹介した住民税と個人事業税以外にも「固定資産税」や「自動車税」などがあります。これらは事業をしているかどうかに関わらず、所有の有無によって納付対象となるかが決まります。
また、税金だけではなく保険料や年金の納付も忘れてはいけません。正社員として働いている場合には「社会保険」に加入できますが、会社を退職してフリーランスになると社会保険を脱退しなければなりません。(最長2年間は継続できます)
以下の記事にて、フリーランスエンジニアの保険について解説しています。
>>フリーランスエンジニアが加入できる健康保険|保険料のおさえ方も解説
【税金別】フリーランスエンジニアが税金を支払うタイミング

ここまで紹介した税金は、支払うタイミングがそれぞれ異なります。と言っても、国税と地方税のそれぞれは大体同じ時期に納付することになるので、大まかに把握しておくとよいでしょう。
次の表に、税金の種類ごとの納付時期をまとめました。
【国税】
税金の種類 | 納付時期 |
所得税 | 2月16日〜3月15日 |
消費税 | 3月31日まで |
所得税の納付期限は3月15日ですが、近年では新型コロナウイルス感染症の影響により延期が認められる場合もありました。基本的には「確定申告の最終日」とされているため、3月15日と覚えておくと間違いないでしょう。
【地方税】
税金の種類 | 納付時期 |
住民税 | 一括納付:6月末 分割4回:6月/8月/10月/1月 |
個人事業税 ※ | 一括納付:8月末 分割2回:8月/11月 |
固定資産税 ※ | 分割4回、自治体によって異なる |
自動車税 ※ | 原則5月31日、自治体によって異なる |
固定資産税は税務署からの指示で納付することになるので、所得税のような申告は不要です。上記の表のように地方税は分割での納付が可能な税金も多いため、しっかりと準備しておきましょう。
納税方法は複数ある

最近ではスマホアプリでの納税が可能になるなど、より納税者が支払いやすい方法が整っています。ただし、国税と地方税とでは納税方法が若干異なるため、希望の支払い方法に対応しているかどうかを事前にチェックしておきましょう。
国税(所得税・消費税)の納付方法
所得税と消費税のような国税は、個人の都合にあわせて選べるように支払い方法がたくさん用意されています。なお、確定申告のあとに税務署から納付書が送られてきたり、お知らせがきたりすることはありません。
確定申告で算出した金額を、以下のいずれかの方法で納付しましょう。
①窓口納付
納付書と現金を持参して税務署や銀行で支払う方法。領収書が発行されるのは窓口納付のみ。
②コンビニ納付
コンビニ納付用のQRコードを印刷してコンビニのレジに持参して支払う方法。30万円以下の納付が可能。
③銀行振替
決まった日時に銀行の口座から引き落とされる支払い方法。原則、振替日は4月下旬頃。
④ダイレクト納付
e-Taxのホームページから納付する方法。登録した口座から引き落としされる電子納付。
⑤クレジットカード納付
国税のクレジットカード納付専用サイトから、納付情報とクレジットカード情報を入力して支払う方法。納付方法のなかで唯一、決済手数料が発生する。ただし、クレジットカード会社によってはポイント還元が発生することがある。
地方税(住民税・個人事業税など)の納付方法
住民税や個人事業税は、確定申告のあとに自宅へ郵送される納付書で納付します。納付書に記載された金融機関もしくはコンビニのレジで現金で支払うか、クレジットカードやPay-easy(ペイジー)に対応していればインターネットからの納付も可能です。
とくに、住民税のように会社員のときに給料から天引きされていた税金は、支払い忘れがないように気をつけましょう。口座振替での自動払込に対応している市町村も多いので、「忘れそうで不安」という場合は口座振替の申し込みを検討しておくのもおすすめです。
税金を支払う際の注意点・ポイント

税金を支払う際には、いくつか気をつけておきたい注意点があります。知らず知らずのうちにやっていたことが、のちにペナルティとなって返ってこないようにしましょう。
滞納するとペナルティが課せられる
国税も地方税も、支払い期限がもうけられています。決められた期限内に納税できなかった場合、たとえ1日過ぎただけでも滞納となりペナルティが課せられます。
滞納すると延滞税として、通常の税金に延滞金が加算されます。当然ながら支払いまでの日数が長いほど延滞税の率も高くなり、余分なお金を支払わなければなりません。
なお、長期間滞納すると督促状が送付され、それでも支払いがなければ電話や訪問などによる督促がおこなわれます。最悪の場合、財産や人物が調査されたうえで差し押さえられることになりますので、必ず納付期限内に支払いを済ませましょう。
赤字でも確定申告は必要
赤字の場合は支払うべき所得税がないので、「確定申告が不要では?」と思う人もいるかもしれません。しかし、赤字の場合でも確定申告は必要です。とくに以下のような場合にはメリットがあるため、覚えておきましょう。
- 源泉徴収されている
- 株取引で損失がある
- 所得証明が必要
もしクライアントとの契約で「源泉徴収あり(される)」となっている場合、確定申告することによって還付金を受け取れる可能性があります。源泉徴収は納税者(フリーランス)の代わりにクライアントである企業が先払いする税金のことで、確定申告によって具体的な納税額を算出したときに支払い過ぎていた分が戻ってくる制度です。
また、株取引で損失がある場合、損失を繰り越すことで利益がでた翌年度以降の控除にすることができます。
さらに確定申告を行うと、所得証明・非課税証明書などの書類を受け取れるようになります。確定申告はただ単に税金を納めるためにするのではなく、このような公的機関での記録を残すためという意味合いもあるのです。
確定申告のサポートが充実したエージェント『Bizlink』
フリーランスになると自分でやらなければならないことが多くなり、「肝心の業務に集中できない」という状況になることがあります。案件を獲得するための営業や条件交渉、さらに請求書の発行や確定申告など・・・。
これらすべてを1人でこなすのは、なかなか大変なことです。そこで、営業やクライアントとの交渉・契約、確定申告などのサポートが受けられるフリーランスエージェントを利用するのがおすすめです。
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まとめ
フリーランスになると、会社員のときは必要なかった事務作業なども業務の一部となります。税金にはいくつかの種類がありますが、支払うべき種類や金額は住んでいる地域や個人によって異なり、しっかりと知識をもっておくことが大切です。
また、それぞれの税金には納付期限が決められており、期限をすぎると「滞納者」となってしまうため注意が必要です。フリーランスエンジニアとして報酬を得たら、決められた税金を期限内にしっかりと支払いましょう。
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