フリーランスはどの税金をいつ払う?所得税や個人事業税などの種類から納付方法まで詳しく解説

フリーランスは仕事に必要なスキル以外にも、会社員のときには意識していなかった「税金」についての知識を身につける必要があります。

そもそも税金を支払うことは働く人の義務であり、医療や福祉、水道や道路、教育、警察、消防などの公的サービスに利用される重要な財源となっています。

しかし税金にはさまざまな種類があり、「結局、税金はいつ払うもの?」と悩むこともあるでしょう。そこで本記事では、フリーランスが支払う税金の種類と、納付のタイミングについて解説します。

フリーランスが税金を支払うタイミングは種類によって異なる

フリーランス(個人事業主)は、1月1日〜12月31日を事業年度とします。前年の1年間分の所得を基にして課税された税金に対し、算出された金額を納税することになります。

ただし、フリーランスが支払う税金には「国税」と「地方税」の2つに別れており、それぞれ納税の締め切りが異なります。フリーランスが納めるべき国税には所得税や消費税などがあり、地方税には住民税や事業税、地方消費税などがあります。

基本的に所得税や消費税は3月15日までに納付しなければなりませんが、地方税は6月や8月に納付するか分割で納付することができます。

それぞれの税金の種類と、納付のタイミングについては次章で詳しく解説します。

フリーランスが支払わなければならない税金の種類

フリーランスが支払うべき税金は納付先や納付期限がバラバラのため、「管理しきれずに期限がすぎてしまう」という人もいるようです。「知らない間に期限がすぎていた……。」とならないためにも、各種税金の種類と納付のタイミングを知っておきましょう。

所得税

所得税は、その名のとおり「所得」に対してかかる税金で、納期限は翌年の3月15日です。年間の所得額が48万円以上のフリーランスは、確定申告で所得額を計算して期日までに納付しなければなりません。

ここで注意したいのが「収入」と「所得」は異なるということです。クライアントワークをおこなうフリーランスの場合、クライアントから受け取った報酬は「収入」となりますが、その全てが「所得」として課税されるわけではありません。

所得とは、業務に必要な物品の購入や家賃、光熱費などの経費を収入から差し引いた残りの金額のことを指します。ここからさらに「控除」を適用した後の金額が課税対象額となります。

所得税が軽減される控除一覧

所得税には、納税者を取り巻く状況などに応じて一定額を差し引く仕組みがあり、これを「控除」と呼びます。控除額が大きければ大きいほど課税対象額は減り、所得税が安くなります。

フリーランスに適応する控除には以下のようなものがあり、それぞれに応じた控除が受けられます。所得税の控除の種類と対象者、控除額を表にまとめたので参考にしてください。

控除の種類対象者控除額
基礎控除納税者全員48万円
青色申告特別控除青色申告者最大65万円
社会保険料控除納税者全員1年で支払った社会保険料の全額
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済等掛金などを支払った人1年で支払った掛金の全額
医療費控除1年で10万円以上の医療費を支払った人医療費や所得額によって異なる
生命保険料控除生命保険料を支払った人保険料に応じて異なる
寄附金控除国や地方公共団体などに寄付をした人寄付金の額や所得額によって異なる
寡婦(夫)控除納税者自身が寡婦である人27万円
配偶者控除・配偶者特別控除控除対象の配偶者がいる人・配偶者控除:13万円〜38万円
・配偶者特別控除:1万円〜38万円
扶養控除控除対象の扶養親族がいる人38万円〜63万円

住民税

住民税は前年の所得によって金額が決まります。住民税は地方税の1つのため、都道府県や市区町村によって税率は異なりますが、確定申告をすると自動的に課税額が決まるため、計算する必要はありません。

確定申告をした翌年6月頃に各自治体から住民税の通知書が送られてくるので、そちらを確認して納付することになります。住民税は一括で支払う、もしくは4回の分割で支払うのどちらかを納税者自身で選択できます。

ただし分割の場合は「6月末・8月末・10月末・翌年の1月末」と期日が決まっているため、忘れないように納付しましょう。

また所得税とは異なり、住民税は所得金額に関わらず収入がある人は申告しなければなりません。原則、給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、その場合でも住民税のための所得申告は必要となるので注意しましょう。

個人事業税

個人事業税は特定の業種に該当しており、なおかつ年間290万円以上の所得があるフリーランスを対象とした税金です。都道府県に対して納税する地方税の1つで、対象となる業種は法律で定められた70業種です。

法定業種と税率は以下のとおりとなっており、該当しない場合は納付する必要はありません。

(引用:東京都主税局 個人事業税

なお納税者に該当する場合は、確定申告をおこなっていると8月頃に納付書が送られてくるため、自分で計算する必要はありません。

消費税

フリーランスとして働いていると、報酬に消費税が加算されていることも多いと思います。消費税は国に納めるべき税金の1つですが、以下に該当する場合は支払う必要がありません。

  • 起業から2年以内
  • 前々年度の課税売上高が1,000万円以下

逆に起業から2年以上経過しており、前々年度の課税売上高が1,000万円を超えているフリーランスは、3月31日までに消費税を支払うことになります。

ただし、2023年10月1日より本格的に導入される『インボイス制度』では、免税事業者であることで

  • クライアントが取引を避ける可能性がある
  • これまで収入の一部だった消費税を納めなければならない

ということが起こり得ます。課税事業者(消費税の納税者)になるかどうかは任意で決められるため、インボイス制度のメリット・デメリットをしっかりと理解して、「免税事業者のまま」か「課税事業者になる」のどちらかを選択しましょう。

国民健康保険料(税)

フリーランスの場合、会社員と同じ健康保険に入ることはできません。会社を退職したあとに「国民健康保険」に自ら加入し、保険料を納めることになります。

国民健康保険料は被保険者の所得や被保険者数に応じて計算され、負担額が決まります。ちなみに「国民健康保険料」には、「国民健康保険税」という呼び方もありますが、基本的に両方とも同じ意味を指します。

というのも、地方税である国民健康保険を運営しているのは市区町村で、「保険料」「保険税」のどちらの方式を採用するかは各地域に委ねられているからです。

どちらの名称が付いていたとしても保険料(税)を市区町村に納付したり、医療が受けられたりと内容に変わりはありません。納付方法は、毎月納付もしくは一定期間分を一括納付のどちらかになり、確定申告で控除対象となります。

国民年金保険料

国民年金保険料は税金ではありませんが、フリーランスが支払うべきものとして解説しておきます。国民年金の加入には以下の3つの種別があり、それぞれ対象となる人が異なります。

  • 第1号被保険者・・自営業、フリーランス
  • 第2号被保険者・・会社員、公務員
  • 第3号被保険者・・第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満)

このうちフリーランスは第1号被保険者で、「国民年金」に加入することになります。会社員として働いていた期間は「厚生年金」と「国民年金」の2層構造でしたが、退社後は国民年金のみとなります。

保険料は毎年見直されて変更になりますが、全国均一です。納付期限は納付対象月の翌月末で、支払いが困難な場合は猶予や免除を受けることができます。

フリーランスが税金を支払うときのポイント

ここからは、フリーランスが税金を支払うときのポイントを4つ紹介します。

フリーランスは赤字でも確定申告しておくと良い

経費を差し引くと赤字になる場合、確定申告しなくても良いのでは?と考える人もいるかもしれません。原則、赤字の場合は所得税や住民税、個人事業税は課税されないので支払う必要がありません。

しかし、フリーランスとしての所得が赤字でも、確定申告をするとさまざまなメリットが受けられます。たとえば納めた税金が「還付金」として戻ってきたり、過去の赤字を黒字と相殺する「損失の繰越」ができるようになります。

源泉徴収税は戻ってくる可能性がある

上記で触れたように、確定申告によって戻ってくる「還付金」というものがあります。たとえば報酬の支払い時にクライアント側で源泉徴収されている場合に適用され、確定申告によって還付されることがあります。

源泉徴収とは事前に納める所得税のことで、確定申告によって本来の所得税よりも払い過ぎていた場合は戻ってくる仕組みとなっています。

赤字でも支払うべき税金がある

所得税や住民税とは異なり、消費税や固定資産税は赤字かどうかに関わらず、売り上げがあったり資産を持っている場合は納税する必要があります。

ただし、これらは確定申告の際に経費として計上できる税金でもあります。税金の滞納にはペナルティが課せられるため、納付期限を守って支払いましょう。

節税対策を積極的におこなう

現在の税金制度では、所得額が大きくなるほど税金も高くなります。そのため、税金を少しでもおさえるには所得額を減らすしかありません。

そこで意識したいのが、節税対策をしっかりとおこなうことです。節税対策にはさまざまありますが、まずは以下の2つを心がけると良いでしょう。

  • 確定申告は青色申告でおこなう
  • 経費と控除を漏れなく計上する

とくにフリーランス1年目で初めて確定申告する場合は、戸惑うことも多いと思います。しかし同じ収入でも節税対策を行なっているかどうかで、納税額が大きく変わることがあるので損しないようにしましょう。

フリーランスが税金を納める方法

フリーランスが税金を納める際には、いくつかの支払い方法から利用しやすいものを選ぶことができます。税務署や金融機関へ直接行って支払うこともできますが、「納税のために行くのは面倒くさい」と感じる人も多いでしょう。

現在では幅広い納税方法が採用されており、以下を利用して支払うことができます。

  • 口座振替
  • クレジット払い
  • コンビニ払い
  • 電子納付(ダイレクト納付)
  • 電子マネー
  • Pay-easy

「少しでも納付を遅らせたい」という場合は、クレジット払いなどの翌月引き落としになる支払い方法を選ぶと良いかもしれません。税金の種類によっては一括納付することで少し安くなるものもあるので、それぞれの特徴をしっかりと理解してベストな支払い方法を選択しましょう。

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毎月きちんと帳簿をつけていれば確定申告の期間に焦ることはないと思いますが、「毎日忙しくて帳簿をつけるどころではない・・」という方も多いでしょう。通常業務と並行して確定申告の書類を作成したり、経費の計算をしたりするのは大変なものです。

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まとめ

フリーランスが支払う税金はたくさんあり、すべてを理解するのは大変かもしれません。自由に働ける一方で、すべて自分で管理しなければならないのもフリーランスの一面と言えるでしょう。

税金が未納だったり滞納している場合、督促状がきたり差し押さえになったりします。今回紹介したように、フリーランスの税金をいつ支払うかは種類によって異なるので、納期限を守って支払いましょう。

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